BOLBOP

BOLBOP Library

BOLBOP Blogs

2017/06/08

なぜ若者は地方を目指すのか

  • Facebook
  • Twitter


CED(Chief Ecosystem Designer)の茂木です。

BOLBOPでは創業以来、日本の様々な地域に関わっており、今回はその中でよく若者の移住について感じている事を書いてみます。

地域活性化には「ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」が必要だということはよく言われますが、確かに元気な地域には必ずイキの良い若者がいます。
地方創生で注目されている島根県の海士町では約2,400人の居住者のうち約20%が移住者であると言われており、30代を中心に若者が多く移住しています。

では彼らは何故地方を目指すのでしょうか。今の若者は、人の為、地域のため、というソーシャルな意識が強い、ということもよく言われる理由の一つですが、果たしてそれだけなのでしょうか。もちろん移住のきっかけはそのような理由の場合もあるのでしょうが、私の経験的な感覚ではそれだけではないと感じます。地方にいるイキの良い若者はもっとギラギラしていたりもします。自分自身のことを振り返っても、純粋に東京よりも地方の方が楽しいという感覚があるのです。

それは何故なのでしょうか。

何が若者を地方へと駆り立てるのか

ここで一つの仮説を立ててみます。
実は若者が移動する本質的な理由には、昔も今も変わらない普遍的なものがあるのではないかということです。

高度経済成長時代、多くの若者は地方から都市部に移住しました。国の政策もあるのでしょうが、昔は都市部は若者の町でした。地方に住む若者にとって、東京(都市部の象徴的な存在として東京を例示する)は最先端の若者文化が集まる憧れの町だった筈です。果たして今の東京はどうでしょうか。
もちろん未だに世界の最先端の食や文化が集まるという要素はあります。一方で今の東京の高齢化率は約24%にのぼり、65歳以上の高齢者の数は300万人にのぼります。マクロな視点でみると東京はもはや若者の町ではありません。若者の数も多いが中高年層の絶対数がそれ以上に多いのです。これは日々働く環境である企業においても同じこと言えます。多くの企業においては重要なポストは中高年層で埋まっています。そして彼らは自分たちの生活の為に既得権を守ろうとする為、容易に若者にチャンスが回ってきません。要は東京には若者が自由に活動できるスペースが少なく閉塞感があるのです。それは自分の感覚値にも符合します。

一方で地方はどうでしょうか。
確かに高齢化率は高いです。先ほどの海士町の高齢化率は約40%です。しかしいかんせん絶対数でいうと、2,400人の4割は約1,000人に過ぎないのです。しかも彼らは後継者が少ないという地域の未来への危機感もあり、自分たちの持つ既得権や資産を積極的に移住した若者に譲ろうと言う意識があります。既得権に縛られる300万人の高齢者がいる東京と若者の受け入れに好意的な1,000人の高齢者がいる地方と、一人の若者にとってはどちらが自由に活動できるフィールドがあると映るのでしょうか。そして、その間には更に4-50代の中年層が存在します。年の離れた高齢者よりも、年齢のあまり変わらない中年層の方が若者にとっては目の上のたんこぶであることが多いかもしれません。ライバル意識もあるから対立もするでしょう。このように若者からみると、今や地方よりも東京の方が自分よりも上が詰まった閉塞感のある地域に見えるでしょう。

昔も今も若者はオープンスペースを目指す!?

仮説に戻ると、高度経済成長時代は構造が逆だっただけなのではないでしょうか。
元々中小企業の数が世界有数の日本においては、かつては今よりも地方で家業を営む人の人口が相対的に多く、家業を継げという親のプレッシャーから自由になる為に若者は都市部に出てきました。昔は都市部よりも地方の方が上が詰まった閉塞感のある地域だったのではないでしょうか。

そう考えると昔も今も変わらない一つの真理の仮説が改めて立ち上がります。
若者の中でも特に自由に何かをやりたい!という意欲のある者ほど、
邪魔者である上が相対的に少ない所に移動する、
ということが若者の移動の背景にある普遍的な真理ではないでしょうか。

これはあくまでも仮説の域を出ない考えですが、自分の体感値とは近いものです。
都市部の高齢化は今後益々進みます。それに伴ってこれまで以上に若者を中心としたイノベーターは地方のオープンスペースを目指します。若者の受け入れに積極的で、自由に活用できる資源を多く提供できる地域ほどイキの良い若者を惹き付けるでしょう。

都市部が地方を支えるのではなく、イノベーターが集まる地方が都市部の高齢者を支えるという社会も、遠くない未来の一つのシナリオなのかもしれません。
そして、その先にはまた都市部復権の時代もくるのでしょうけれど。歴史は繰り返します。

  • Facebook
  • Twitter

お問い合わせはこちら

関連する記事

PAGE TOP